●地球環境問題 ちきゅうかんきょうもんだい
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【 I 地球環境問題】(1)廃棄物問題
工業国が有害産業廃棄物の処理に困り,国内外に不法投棄する問題。先進国から開発途上国へ投棄(有害廃棄物の越境移動)する問題に対して,国連環境計画(UNEP)は,1989年3月にスイスのバーゼルで日本を含む116か国による「有害廃棄物の越境移動及びその処分の規制に関する条約」(バーゼル条約)を採択。(2)熱帯林破壊
国連食料農業機関(FAO)と UNEP の調査によれば,1981〜1985年の間に,熱帯林が毎年1,130万ヘクタールも破壊されているという。熱帯林保有国は,一般に人口が急増して貧しく,そのため焼畑農地や放牧地の拡大を図って,熱帯林を食いつぶしている。また,先進国の熱帯材輸入による木材の伐採も破壊の原因となっている。熱帯林の破壊は,二酸化炭素の増加による地球温暖化などの異常気象や,そこに住む動物の絶滅をもたらすことが心配される。
(3)地球温暖化
異常気象とともに地球温暖化の不安が高まっている。大気中の二酸化炭素や他のさまざまな大気汚染物質が,地球を温室のように包み込み,太陽の光は通すが熱は逃がさないで地表面を温めている。フロンガスや自動車排気中の亜酸化窒素が大きな要因と考えられている。また,地球温暖化による海面上昇も大きな問題であり,UNEP は,バングラデシュ,パキスタンなど10か国を水浸しになる危険な国と指定している。
(4)オゾン層破壊
地上12〜50kmにたまっているオゾンの層は,太陽から降り注ぐ人体に有害な波長の紫外線の99%を吸収しているが,地上で使われたフロンガスが上昇してきて,オゾンが次々に破壊され,その結果地上に達する紫外線の量が増大して皮膚がんが増えることが心配されている。フロンは,ヘアスプレーや殺虫剤などのエアゾール製品,また,最近では,電子部品の製造工程にも多く使われている。現在,フロンの生産・消費を全廃する国際世論が高まり,全廃に向けて各国とも努力している。
(5)酸性雨
大気汚染物質が大気中で化学変化を受けて酸化物に変わり,雨に溶けたもの。欧州では,木の三分の一が被害を受けて弱ったり枯れたりしている。最初は北欧で,現在では,東欧の森林に深刻な被害が現れている。酸性雨は,湖沼の水をも酸性化して敏感なプランクトンや水性植物に被害を与え,それらを餌にする魚類を死滅させている。先進工業国だけでなく,アジアや南米においても被害があり,日本でも環境庁の調査では,多くの湖沼で欧米並みの数値が報告されている。
(6)その他の環境問題
以上のほか,都市化や生活様式の変化に伴うゴミの増加,水質汚濁,大気汚染などの都市生活型公害問題も,世界各国共通の課題である。
(7)人口問題
世界人口は,国連統計で1987年7月に50億人を突破した。人口増加率は,1980年代後半から1.9%となっており,危機感は去っていない。インド亜大陸とサハラ以南のアフリカは,地球の「人口爆発地点」であるが,特にインドは2030年前後に中国を抜いて世界最大の人口国になる模様である。人口の急増で問題になるのは,異常気象とも関連して,食糧の問題がある。また,先進国では,平均年齢の急速な高齢化が最大の問題である。
【 II 環境保護のための機構・条約】
(1)国連環境計画 UNEP(United Nations Environment Programme)
1972年ストックホルム国連人間環境会議の決議で設立。環境保護を目的とした国連機関。本部はナイロビ。オゾン層の保護,地球温暖化防止,有害廃棄物の越境移動防止,熱帯林保護など環境問題の国際機関の中核。
(2)世界気象機関 WMO(World Meteorological Organization)
1950年創設。気象情報交換のための国際機関。本部はジュネーブ。
(3)国連食糧農業機関 FAO(Food and Agriculture Organization of United Nations)
1945年創設。
農林水産物の問題や飢餓の克服を目的とした国連機関。本部はローマ。
(4)国際熱帯木材機関 ITTO(International Tropical Timber Organization)
1983年創設。熱帯林の市場安定や保護を目的とした国際機関。本部は横浜。
(5)ウィーン条約/モントリオール議定書(Vienna Convention / Montreal Protocol)
1989年発効。
オゾン層破壊につながるフロンガスの製造・消費を全廃する決議。
【 III 環境教育による意識化】
環境教育は,深刻化する環境問題を,グローバルな視点から人類全体の問題としてとらえ,人間の営みが環境とどのようなかかわりを持つかを理解させ,環境の保全に配慮した責任ある行動がとれる態度を幼少のときから育成しようとするものである。1972年ストックホルム国連人間環境会議の開催を契機に重要性が認識され,日本でも1990年5月に「日本環境教育学会」が結成されている。
文部省も,1991年3月に,中学校・高校教師向けの『環境教育指導資料』を刊行している。