●高齢化社会 こうれいかしゃかい
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総人口の中で高齢者(65歳以上)の占める割合が高まっている社会のことで,国際連合は,高齢者の割合が4%未満を「若い人口」,4%以上7%未満を「成熟した人口」とし,7%以上を「老化した人口」と定義している。日本は1970年の国勢調査で,この割合が7.06%となりこの年から,アジアで日本だけが高齢化社会にはいったことになる。この割合はその後ますます高くなり,1975年に7.9%,1980年に9.1%,そして,1989年には11.6%になった。厚生省の将来推計人口によると,2000年には16.3%,2015年には23%に達すると見られている。日本の「人口高齢化」の特色は,(1)高齢化が進む速度が異常に速い,(2)高齢者人口の割合が21世紀に入ってから最も高くなり,その数値は世界的に見て高い,(3)女性高齢者の割合が高いなどがある。特に,高齢化の速度は,世界に類を見ないもので現在,高齢者の割合が15%に達しているドイツ,イギリス,スウェーデンなどの高齢化のスピードの2,3倍である。また,欧米諸国の中で最も人口の高齢化が進む国の一つであるスウェーデンにおいては,1990年をピークに一時下降し,その後,2010年頃から増加に転じ,2025年には20.9%に達すると見られているが,わが国の水準はこれを上回るものとなっている。
この要因としては,出生率と死亡率が急激に減少したことである。死亡率は低下を続け,1990年には6.4(人口千人当たり)となっており,特に近年においては中高年齢層の死亡率の低下が著しい。これら死亡率の低下は,医学・医術の進歩や公衆衛生の向上,食生活の改善などによるところが大きいといえる。これに伴い,わが国の平均寿命は着実に伸び1990年には男75.91歳,女81.77歳となり,世界の中で最も長寿な国となっている。
また,出生率も近年急速に低下しており,1990年には10.2(人口千人当たり)まで低下した。一人の女性が一生の間に産む子供の数(合計特殊出生率)も年々低下を続け,1989年には1.66人となっている。
わが国の人口高齢化は社会経済に大きな影響を及ぼしており,さまざまな問題が生じている。個人のライフコースの変化,家族の形態や同居形態並びにライフサイクルの変化,労働力の高齢化や高齢者の就業・雇用問題,住宅問題,健康・いきがい問題など高齢者自身やその家族,職場の問題や,高齢者への保健・医療年金・生活保護,在宅福祉・施設福祉など国にとっての問題など,今後これらの対策をどうするかが重要課題となっている。
1989年に出された「高齢者保健福祉推進10か年戦略」は,1986年の閣議決定での「長寿社会対策大綱」,1988年の厚生省・労働省の「福祉ビジョン」を受け,策定された。このプランは,次に示す7項目からなる。(1)在宅福祉推進10か年事業,(2)ねたきり老人ゼロ作戦,(3)長寿社会福祉基金,(4)施設の緊急整備,(5)高齢者のいきがい対策の推進,(6)長寿科学研究の推進,(7)高齢者のための総合的な福祉設備の整備である。これによって,従来は部分的であった高齢者への福祉対策が総合的にまとめられ,所得保障とともにサービスの充実がはかられている。