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●ワンダーフォーゲル

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【語源】ハイキング・楽しく歩くという意味。英国南西部で用いられたケルト系のことば(18世紀ごろ)である。ドイツではハイクをワンダーフォーゲルと言い,国内の青少年運動の領域として位置づけ,ユースホステル運動と不離一体となっている。ドイツでは渡り鳥を意味し,山野を渡り歩き心身を鍛えることを目的としている。

【歴史】19世紀後半にドイツ統一をめざした運動で,輸入文化を排撃しドイツ的な独自性を尊重しつつ新しい文化の創造を企図して生まれた青年文化である。この活動は青少年たちに生きる歓びを教え,腐敗した社会を再建する運動として価値を発見させる教育思想が含まれている。1897年にカール=フィッシェル(K. Fischer)がリーダーとなって青年に呼びかけ,休日を利用した徒歩旅行を行う団体を組織し,1901年にワンダーフォーゲルと命名した。この運動が祖国愛から出発していることは綱領のなかに(1)日光を浴びよ,(2)浩然の気を養え,(3)自然に親しめ,(4)卑俗な流行歌を捨てよ,(5)祖国の地理を知れ,(6)祖国の上に芽ぐむ魂を知れ,(7)協力し団結せよ,という七つのことばに代表される。この自然主義に根ざした人間性回復と祖国愛の運動もナチス時代は国粋主義・独裁主義に結びつきヒトラー=ユーゲントというナチ青年運動に吸収され,第二次世界大戦下におけるドイツ国民教育に利用される悲劇を生んだ。戦後は各国において健康と平和と福祉をめざした真の意味での青少年運動・国民体育運動として正常化され開花している。このように,スポーツは適用を誤れば国民運動として平和を打ち破る方向にも進む可能性を秘めている。

〔参考文献〕日本体育協会監修『現代スポーツ百科大事典』1970,大修館