●椀 わん
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木地屋がろくろを用いてつくった木製食器。ゴキ(御器)などと呼ぶこともある。漆を塗る他,木地のままでも使われた。弥生時代遺跡からの発見例もあり,その起源は古くまた長らく愛用された。今日,その主体は陶磁器に移ったが,意匠を凝らした漆器がハレの機会を中心にまた祭祀用に木地のままのものが利用されている。婚礼や葬式時の会席に際しては,一部の上層者を除き村落共有の膳椀を用いることが多かった。通常,飯椀・汁椀・ひら・つぼ・こしだかなどと呼ぶ蓋の付いた5点が1組となっていた。このような膳椀利用法に関連して,全国各地に分布する椀貸し淵の伝説が注意される。椀や膳が入用なときにはその淵に頼めば貸してくれるというモティーフをもつが,その場所が川・池・沼・塚・洞穴・地蔵などと語られる場合もある。借りた膳椀をこわしたり数をごまかして返したりすると,以後貸してくれないなどと言い,水神信仰や木地屋との関連が考えられている。