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●ワグナー

ヨーロッパ ドイツ連邦共和国 AD1813 ライン同盟

 1813〜1883 19世紀ドイツ最大の歌劇作曲家。とりわけギリシア悲劇の復活を意図した,オペラを超えた総合芸術,「楽劇」を個人スタイルとして確立したことで知られる。その生涯は波乱に富み,ギリシア文学やシェークスピアに熱中した少年時代,ヨーロッパ中を放浪し失敗を重ねた青年時代(1832〜1842),『リエンツィ』の成功を得,初期の佳作『さまよえるオランダ人』・『ローエングリン』・『タンホイザー』を残したドレスデン宮廷劇場指揮者時代(1842〜1849),比較的落ち着いていたのも束の間,パリの二月革命に影響されて起こったドレスデン蜂起(1849)に,血気盛んに銃をもって加担したためにおたずね者となりスイスに亡命,その間世話になったヴェーゼンドンクの夫人マチルダとの悲恋の体験から『トリスタンとイゾルデ』を書いた亡命時代(1849〜1864),バイエルン国王ルートヴィヒ2世と出会い,その庇護下で上演に四夜を要する歌劇史上類のない巨作『ニーベルンゲンの指輪』を書き進め,唯一の喜歌劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』をつくった運命転換時代(1864〜1874),バイロイトに自作品のみを上演するための理想の劇場を得,そこで『ニーベルンゲンの指環』を完成させ,晩年の傑作『パルジファル』をつくったバイロイト時代(1872〜1883),と死ぬまで彼の楽劇以上に劇的であった。彼は最後に仏陀をテーマとした楽劇を構想していたと言われ,生涯貫いてきたドイツロマン主義的神秘主義への帰依を晩年になるにつれ深めていった。音楽技法上でもワグナーは文字通り革命児であった。旋律が後から後から止めどもなく続いてゆく無限旋律,その果てしない音楽的持続のなかで明確な意味をもたせるために人物や物・感情などをテーマで示す示導動機(ライトモチーフ),調性がなくなる寸前まで使いきる半音階的和声の世界などロマン派時代から近代音楽への橋渡しとなった。ドビュッシーもその漂うような和声感や音楽的持続をワグナーの作品から習得したものと見られる。

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