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●ワキール

アジア AD 

 アラビア語で「代理人・代表・権限を委託された者」を意味する。イスラーム史上,このことばは時代によってさまざまな分野で多岐な使われ方をしている。第1にイスラーム法の領域では,婚姻や財産の管理などさまざまな問題において当事者から権限を委託された代理人を意味した。第2に商業・貿易の面では,荷主から商品の委託を受け,輸送・販売に従事する者を指した。また,商人間の代表者として国家との間でさまざまな法的な問題の折衝に当たり処理する者のことを言った。彼らは商人を統轄する者として倉庫を兼ねた商館(ダール=アルワカーラ)を開く特権を与えられていた。第3に農業の面では,大私有地で地代徴収を請負う代官のことを指す。ウマイヤ朝(661〜750)からアッバース朝(750〜1258)にかけてダイアと呼ばれた私有地でのワキールの活動が認められる。第4は,宗教の分野での用法で,たとえば,シーア派の一派十二イマーム派においては教主イマームが「お隠れ」になって,メシアとして再臨してくるまでの間教団を率いて指導していく者を指している。