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●吾輩は猫である わがはいはねこである

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 夏目漱石の長編小説。1905年(明治38)1月より翌年8月まで雑誌「ホトトギス」に連載,上・中・下三巻(1905〜1907)として服部書店(上編のみ)・大倉書店より刊行。全11回で,第3回より連載を自覚した執筆となっている。文明中学校の英語教師珍野苦沙弥(ちんのくしゃみ)を中心とする友人の美学者迷亭・理学者水島寒月・哲学者越智東風らの〈太平の逸民〉たちと実業家金田を中心とする功利的・拝金主義的な俗物らとの対立を骨子として,さまざまな人間喜劇が展開するが,そのほとんどは珍野家に居ついた無名の猫の眼を通して描かれている。人間より下のはずの猫が,人間を高みから観察し批判するこの小説の構造は,従来にない諷刺文学を産み出すことになっており,日露戦争前後の日本に対する鋭い文明批評であるばかりでなく,人間存在への深い省察をも語っているのである。

〔参考文献〕吉田六郎『「吾輩は猫である」論』1968,勁草書房