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●ワイン

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【定義】ワインとは,ぶどうの果実を酵母の作用によって醗酵させてつくったアルコール性飲料であり,酒類の一種である。ワインの歴史は人類の歴史とともにある。ぶどうの発生は中央アジアと言われ,その出現は人類より古い。古代の人にとって野生ぶどうは重要な食料であった。ワイン発見については諸説あるが,一番確かと見られるのは,人が食べるために採取したぶどうが器の中でつぶれ,その果汁がぶどうの果皮についている自然の酵母によって醗酵した。そしてその果汁を飲んだところ美味であったため,ぶどうの果実をつぶしワインをつくることを始めたということであろう。中央アジアに始まったワインづくりは,その香味に魅せられて相当の早さで西に東にと広まった。その年代・時期は確かではないが,オリエント・小アジア・エジプトなどでは数万年あるいはそれ以上以前と考えられ,古代オリエント・古代エジプトなどではその記録がすでに数千年前の文字・絵画に残っている。現在ワインづくりの最も広範にわたり,しかも良質のワインの産地はヨーロッパである。中央アジアから小アジア・ギリシア・イタリア半島に伝わったワインづくりはヨーロッパ各地にも波及していったが,これをさらに広めたのは,ヨーロッパに大版図を拡大していったローマである。ローマはその支配地・植民地のぶどうの栽培可能な土地には,栽培の技術を伝えワインづくりを広めた。キリスト教の布教の広がりもワインづくりを盛んにすることに力があった。ワインづくりはぶどう栽培可能な各地方に急速に広まっていったが,中でもフランス・ドイツ・スペインなどでは土地柄が適し,ワインづくりは盛んになり良質のワインを産出するようになった。とくにフランスは北部や西の一部の海岸地帯・中央高原地方を除き,全国的にぶどうの栽培に適した土地が多く,地中海岸やジロンド川岸地方で始まったワインづくりは,内陸の河岸にものびていった。今ではフランスには,北からアルザス・シャンパーニュ・ロワール・ブルゴーニュ・ジュラ・サヴォア・コニャック・ボルドー・ベルジュラック・アルマニャック・ジュランソン・ガイヤック・コート=デュ=ローヌ・ラングドック・ルーション・プロバンス・コルシカなどの多くのワイン産地がある。フランスに限らずワインの種類あるいは同類には五つの分類がある。これは主としてその製法上からの分け方で(1)通常ワイン(ナチュラルワイン),(2)発泡性ワイン,(3)酒精強化ワイン,(4)混成ワイン,(5)ワイン蒸溜酒である。(1)通常ワインは,色別には赤・白・ロゼの三種で,味では辛口・中辛・中甘・甘口に分けられる。主に飲まれるのは食事中には辛口・中辛くらいだが,食事中に飲むワインとして主流をしめる。赤は果皮の紫か黒っぽいぶどうをつぶし,もろみ状にして醗酵させしぼったもので,赤い色は果皮に含まれた色素から出る。ロゼワインは三つのつくり方がある。その一は赤ワイン用のぶどうを赤ワインのつくり方で,果皮の色素がロゼ状に出たところでもろみをしぼる。その二は赤ワイン原料と白ぶどう(厳密には緑色とか黄色・淡紅色)をロゼになるよう適当に混ぜてつぶし,もろみとして醗酵させしぼる。その三は赤ワインと白ワインをまぜる。白ワインはかつては白ぶどうをつぶし醗酵させしぼったものだったが,最近ではほとんどぶどうをしぼって果汁にしこれを醗酵させるので,白ぶどうはもとより黒ぶどうからでも果汁には色がつかないから白ワインがつくられる。(2)発泡性ワインは,ぶどう果実を一度醗酵させ,温度を下げ醗酵を停止しさらに温度を上げ二次醗酵をさせるのである。そして二次醗酵はビンのなかで行うため,炭酸ガスがビンに封じ込められ発泡性ワインとなるのである。この方法をシャンパン方式というが,二次醗酵をタンクで行いこれをビンに詰めたものもあり,シャルマー方式という。前者の方が酒質もよく値段も高い。最も有名なのがフランスのシャンパーニュ地方でつくられるシャンパンである。(3)酒精強化ワインは,ワイン醗酵の途中でワインブランデーを加えアルコール度を上けたワインで,有名なものにスペインのシェリー,ポルトガルのポート・マディラ,イタリアのマルサラなどがある。(4)混成ワインは通常ワインをベースとして薬草・香料・色素・糖分などを加えたもので,いろいろなものがあるが,ベルモット・人工甘味ワイン・リキュールなどである。ワイン蒸溜酒はワインブランデーと呼ばれ,フランスのコニャックが世界的に知られているが,ワイン産出国では各地方でワインブランデーが造られている。ワインを蒸溜したものであるが,通常ワインのアルコール度数が7度から14度くらい,酒精強化ワインで25度くらいまでであるのに対し,ワインブランデーは40度から45度くらいまである。以上のワインの内,最も多く飲まれているのは通常ワインの辛口・中辛・中甘くらいのもので,しかも食事中の酒として飲まれるものが多い。食中酒としては発泡性ワインの辛口・酒精強化ワインの辛口なども飲まれることもある。

【ワインと料理】ワインの大きな特色は食事中のワインとして飲まれるものがあることであろう。言うまでもなく,他の酒類でも食事中の酒として飲まれるものはあるが,ワインほどの必然性をもたない。もっともすべてのワインが食事中に飲まれるのではないことはすでに説明したが,ワインと料理とのコンビネーションには一つの形がある。これは主としてフランスで発達したワイン飲用の常識的な規則であるが,各人の嗜好によって左右されることは言うまでもない。フランスではロワール川にフランスの宮廷が造られたころから料理が急速に発達し,美食嗜好が王侯貴族の間に生まれた。料理にはフランスの各地で産出するワインが添えられた。もともとワインそのものは酸性を呈するが飲むと体内でアルカリ性となり,肉食などで酸性化しやすい体調を中和し,健康上よいことを人は古い時代から経験的に知っていた。それがいつしか食事中にワインを飲む習慣となったが,これは結果であって,ワインを飲むのはワインそのものが美味であったことによっている。美食嗜好の発達とともに良質のワインが求められるようになると,ロワールの宮廷・貴族の城館には良質のワインが,地元のロワールから・ブルゴーニュから・ボルドーからと取り寄せられた。宮廷がパリ,さらにヴェルサイユに移るとますます美食・美酒が求められた。ヴェルサイユ宮殿にはフランス中の名酒が集まることになった。毎日の美食・美酒の食事・宴会はおのずから食べ物・料理とワインの組み合わせを生んでいった。今では原則的ではあるが,白ワインは魚貝料理,ロゼワインは主に鳥料理か魚貝から肉まで,赤ワインは肉料理という組み合わせが一般的なものとなった。このような組み合わせの考案は,毎日実際に変化のある料理を食べ数多くの種類のワインを飲み,比較しなければわからないことだから,このワインと料理の組み合わせがヴェルサイユから発した,と言われるのもあながち故のないことではない。現在ワインの生産量としてはイタリアがフランスを抜いて第1位になり,年間およそ706万klのワインを造っている。以下ヨーロッパではフランス・スペイン・ポルトガル・ルーマニア・西ドイツの順で続いている。ヨーロッパの大航海時代の後,諸国が獲得した植民地では,ヨーロッパ系の移住者たちがぶどうの栽培の可能な土地にぶどうの樹を植えワインづくりを始めたので,それが現在も受け継がれ,アメリカ合衆国・中南米諸国・オーストラリア・ニュージーランド・南アフリカ連邦などの各地でワインづくりが盛んである。東洋では中国が古くから,中央アジアから伝わったワインづくりを受けてワインを生産していた。その産出は穀類の酒に押されてそれほどの量ではなかったが,最近力を入れ始めた。日本では明治以後ワインづくりが行われ,現在では大小200のワインメーカーがある。日本のワインづくりの歴史はわずかに100年と,長くはないが,日本人の器用さは,ヨーロッパ2000年のワインづくりの技術を身につけ国産のワインでも優れたものができるようになった。しかしワインはぶどうの育てられる風土に重大な影響を受ける。したがってヨーロッパの優秀な品種のぶどうを日本で栽培し,優れた技術で醸造を行っても,ヨーロッパの優れたワインとまったく同一のものができるとは限らない。ワインは風土・技術・ワインづくりの思考の三者が一体となって優れたワインを産み出すことは今では常識となっている。ワインは日本ではまだほかの酒類に比べてその飲用の量が多いとは言えないが,やがて日本人の飲用する酒類のなかで重要な酒となると予想されている。

【ワインと健康】ワインは全酒類のなかで最も健康に良い酒とされている。それはワインを構成する成分が250にものぼり,そのなかには人の採取する食品として栄養・保健的に有効なものが多いということである。もっとも一口にワインと言っても,初めに説明したように五つの種類がありその成分は一様でなく,その主流の通常ワインにしても赤・白・ロゼ,辛口・甘口,あるいはその製法によってその成分は異なる。ワインそのものは酸性でも人の体内で吸収されればアルカリ性になる,ということもすべてのワイン種族に言えることでもない。ワインの成分は,水分・蛋白質・炭水化物・灰分・無機質・ビタミンなどから成り立っている。他の酒類に比べれば食品としての価値は高いのだが,ワインとてもアルコール性飲料だから,あまり多量の摂取は害になる。適量というのは個人差があるが,通常の人,アルコールに拒否反応などない人で,1日300mlから700mlほどの量であろう。純正につくられた良質のワインは,前にも述べたように,体内に入りアルカリ性となるため人の酸性に片寄る体調を中和する。人の体質が酸化しすぎるということは健康上いろいろな障害を起こすもとともなるので,これを中和する作用が人の健康に役立つのである。最近の WHO すなわち世界保健機構からの報告によれば,ワインが心臓血管系の病気に良好に作用すると言われる。適量に飲めば血行をよくするためもあろう。しかし多量の飲用はワインに限らず,人に有害であることは他の酒類と同様であることは言うまでもない。