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●ワイルド

ヨーロッパ 英国 AD1854 ハノーヴァー・ウィンザー朝

 1854〜1900 詩人・小説家・劇作家。ダブリンに生まれトリニティ=カレッジで教育を受けた後,オックスフォードに学ぶ。オックスフォード時代から耽美派の中心的な存在として機知と才気に溢れる詩をなし,1881年には『詩集』を出版。さらに童話集『幸福な王子』(1888)を含む小説数篇を発表,その中には,持説の思想「芸術のための芸術」を色濃く映した,『ドリアン=グレイの肖像』(1891)がある。彼の享楽的な耽美主義は,当時のヴィクトリア朝的な強い道徳性や,産業革命で勢力を増した中産階級の権威主義的傾向に反発する立場にある。彼の才能が最も冴えを見せる喜劇『ウィンダミア卿夫人の扇』(1892)や,『とるに足らぬ女性』(1893)・『嘘から出たまこと』(1895)を通じて行った時代への揶揄と耽美的経験への賛美は,中産階級的散文的なヴィクトリア朝文壇において,演劇を活性化する役目を果たすものであり,また同時に,ヴィクトリア朝的道徳の衰微する世紀末を告げるものでもあった。彼の有名な戯曲『サロメ』は1893年,フランス語で出版された。1895年から1897年まで,クウィーンズベリ侯爵に対する名誉毀損罪で投獄され,この体験は『レディング監獄のうた』(1898)と,回想録『獄中記』(1905)となった。出獄の後はフランスに移り,世紀末文学の中心地パリで世紀の末を見届けて命を閉じた。