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●ロマン主義 ロマンしゅぎ

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18世紀後から19世紀にかけて、ヨーロッパの文芸・思想上に起こった運動を言い、画一的な古典主義や理性的な合理主義と対立し、現実主義(リアリズム)の反語となる。社会観や国家・民族観にも反映したので、政治的ロマン主義も現れてきた。一般的には、個性を尊重し理性よりも悟性のひらめきを重んずる。個性を尊重するため、その起源や生成過程を重視するので歴史性が必要になってくる。その反面個性や過去を美化する主観的側面は避けられず、「なきものへの憧れ」をもつようになる。

【文学】プロテスタント運動と結びついて現れた。このためイギリスやドイツで早く、次いでイタリア・フランス・ロシアなどに普及した。フランスのルソー啓蒙主義者であるがロマン主義への分水嶺をもなしており、シュトゥルム=ウント=ドランクはドイツ=ロマン主義の初期的形態である。しかし、本格的にロマン主義が起こるのは社会の変革を経てからになる。フランス革命は、合理主義的と言える啓蒙思想と関係をもって発生したが、革命の拡大とともに反革命・反合理主義的な雰囲気も強くなった。またナポレオンの出現は、そのヨーロッパ征服によって国民的自覚を目覚めさせた。それらが各国民に自国の過去の文化に気づかせた。ドイツでは、ドイツ観念論の影響もあってシュレーゲル兄弟ノヴァーリスに代表される前期ロマン主義が訪れ、神秘的で自然と人間の合体した超合理的なものを求め、後期ロマン派ではブレンターノグリム兄弟・クライスト・アイヒェンドルフなどが出て過去の自国文化に憧れ、また一面では叙情的になった。イギリスでは、ワーズワースバイロン・シェリー・キーツらの詩に表現され、社会の束縛から逃れて自然美や民族的伝統を取り上げた。スコットは小説の分野に歴史小説をもちこんだ。フランスではルソー・スタール夫人・シャトーブリアンを先駆者として、古典主義との対比においてロマン主義文学が現れ、ユーゴー・ラマルチーヌ・ミュッセらが演劇を中心に活躍し、ユーゴー・デュマ・ジョルジュ=サンドらが小説の分野で存在を明らかにした。その他、啓蒙運動とともにロマン主義が入ったロシアではプーシキンらが出ているし、ロマン主義の輸入が近代国民文学の基礎となったアメリカでは、エマソンアーヴィングホイットマンらが出た。日本では、近代社会成立の要素として、啓蒙主義に続いて明治中期に輸入され、個人意識の確立が言われ、森鴎外は理論的な活動を行い、北村透谷は評論においてこの主義を根拠とした。島崎藤村・与謝野鉄幹与謝野晶子らは感情の解放を詩歌に謳ったが、やがて自然主義に道を譲っていった。

【音楽】音楽におけるロマン派は、ウィーンを中心にした古典派に続いて19世紀初めより現れた。活躍した作曲家としては、シューベルト・ウエーバーが初期に、盛期にはシューマン・メンデルスゾーンショパンが、後期にはマーラー・ブルックナー・R.シュトラウスを挙げることができるし、リスト・ワーグナー・ベルリオーズらもリアリズムへの傾斜をもつ新ロマン派である。ロマン主義音楽は小曲が好まれながら、オペラなどではワーグナーのように巨大化し、文学のテーマや異国を取り扱い、半音階を多く用いて、ベルリオーズに見られるように、麻薬をさえもちこんで幻想性を強調するところにその特色を挙げることができる。

【美術】絵画においては、19世紀初めにフランスにおいて興った。それが明確に出てきたのはジェリコーであるとされ、ドラクロアによって強い色彩・大胆で動的な構図・歴史的なテーマといったロマン主義絵画に付属している特色がはっきりと示された。音楽と同様に、主題は文学や歴史のなかに求められ、異国的なものが尊ばれる。これらの画法はコローやミレーといった写実主義絵画にも強い影響を与えている。ドイツのロマン派は情感的・幻想的な点ではフランス以上であるが、作品としてはそれほど注目に値するものは出ていない。建築において、古典主義に反発しゴシックが再認識されてくるのも、ロマン主義の影響と言うことができる。

【政治】ロマン主義が政治に反映したのはドイツ、中でもプロイセンにおいてであった。シュレーゲル・A.ミュラー・サヴィニー(歴史法学)を通して形成されてきたロマン主義思想は、フリードリヒ=ヴィルヘルム4世の時代に、ロマン主義を国家学に及ぼしたハラーを理論的指導者として、ゲルラッハ兄弟らの王の仲間たちが形成され、やがてシュタールの国家論に至った。それは、家父長的な中世国家を理想とし国家を有機体とみなした。すべての臣民は王に対する忠誠でもって結ばれていて神の摂理を尊んだ。当然のこととして反革命で、身分的秩序を守ることによって社会が維持できると考えた。これが1840年代のいわゆる三月前期や1848年の三月革命に直面するプロイセンの姿で、ロマン主義が反動的になる例を示した。

〔参考文献〕H.G.シェンク『ロマン主義の精神』みすず書房

ヴァルター=ベンヤミン『ドイツ・ロマン主義』晶文社


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