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●ローマ字運動(中国) ローマじうんどう

アジア 中華人民共和国 AD 

 表意文字の漢字の発音をローマ字などの記号で表記しようとする運動。中国では19世紀末から漢字習得の困難が教育の普及を妨げ,ひいては国運を衰退させているとの危機感から漢字を廃止し表音文字に改革せよとの声が高まってきた。中国語の表音文字には,すでに17世紀末キリスト教伝道のため宣教師が考案した教会ローマ字と称される種々の表音文字や,清国駐在イギリス公使トーマス=ウェードが考案したウェード式ローマ字があったが,中国人の手になる最初の表音文字は,これらを参考につくったローマ字式で横書きの中国切音新字(65字)である(1892)。その後辛亥革命までに28種の表音文字(漢字の筆画利用が14,ローマ字と速記文字利用が各5,数字の組合せによるものが4)が発表された。清朝政府も民間の声に押されて国定の表音文字の採用を決定したものの,辛亥革命の勃発で実現を見なかった。1912年成立した中華民国政府は翌年読音統一会を召集し,注音字母(のちに注音符号と改称)の制定を決め,1918年公布した。篆文や古文字を記号化して子音24,母音15を表すようにしたもので,国語普及の有力手段として学校教育で実践され,文盲の減少・読音の統一・共通語の確立に一定の貢献をした。さらに1928年政府は国語ローマ字を公布し,また在ソ中国人のためのラテン化新文字が1931年に瞿秋白らによって考案されたが,一長一短がありあまり普及しなかった。1949年成立した中華人民共和国は,〈漢字は表音化の方向に向かうべきである〉との毛沢東の指示により,1954年文字改革委員会を政府の直属機関として設置して漢字の表音化作業に着手し,1958年2月「漢語ヘイ※注2※音方案」を公布した。ローマ字のアルファベット26字で共通語の音節四百余を表記でき,簡便さは国語ローマ字や注音符号より数等勝っている。いずれ新聞・雑誌などから漢字が消え,このローマ字で文章が綴られることになろうが,当面は漢字学習や共通語普及の有力な手段として広く利用されている。