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●労働基本権 ろうどうきほんけん

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憲法28条によって労働者に保障されている団結権・団体交渉権団体行動権(争議権)のいわゆる労働三権の総称(このような用法が最近ではポピュラーであるが、別義に用いる人もある)。労働三権が、生存権の実現など、労働者が人間らしく生きていく上で不可欠の基本的な権利であることに着目してこのように呼ぶ。いわゆる生存権的基本権に属し、単なる自由権とは違って、国家との関係においてのみならず、私人間の関係においても効力をもつ。すなわち、国家が法律などによって労働基本権をみだりに制限・否認することが憲法に反して許されないのはもちろん、使用者が労働組合を嫌って組合員を解雇することなども労働基本権の侵害として憲法に反するのである。憲法に保障された労働基本権の内容は、労働組合法をはじめとする法律によって確認され、また具体化されている。すなわち、労働組合法は、組合の結成・加入、組合活動等を理由とする組合員の解雇等差別待遇を禁止し、使用者に団体交渉応諾義務を課し、争議行為に対する民事・刑事両面の責任を免除する明文の規定をおくことで憲法の労働基本権保障の内容を確認し、さらに使用者による組合員の差別待遇等に対し労働委員会による救済制度(不当労働行為制度)を設けることでこれを拡充・具体化しているのである。ところで、労働基本権は前述の通り労働者の不可欠の権利であり、みだりにこれを制限・否認することは許されないが、絶対・不可侵の権利でないことはいうまでもなく、ほかの諸権利との調和という観点から一定の制約がある。この点に関連して、とくに問題となるのは官公労働者の労働基本権の制限である。周知の通り、国家公務員法など現行の官公労働法は次のような制限を加えている。すなわち、自衛官・警察官・監獄職員などについては一切の労働基本権を否定し(組合結成・加入も不可)、非現業の地方・国家公務員については団交権を厳しく制限し(地方・国家のあいだに違いはあるが、共通して労働協約の締結はできないとされるなど)、すべての官公労働者につき争議権を否認する。このような扱いは憲法に反するのではないかとの疑問は広汎に存し、繰り返し裁判でも争われているが、最高裁判所は一貫して合憲との判断をとりつづけている。その論拠は時代とともに変化してきているが、今日では(全農林警職法事件・1973年4月25日判決以降)、財政民主主義・勤務条件法定主義と呼ばれる考え方による。要言すれば、官公労働者の勤務条件は、民主主義=議会制民主主義のもとでは、住民・国民の代表からなる議会で審議・決定すべきで、これを無視してあれこれの官公庁がその職員からなる職員団体・労働組合と勝手に交渉・決定することが許されるはずがないというものである。なお、最高裁は、補足的に、争議行為禁止のいわゆる代償措置として官公労働者には人事院による給与勧告制度などが設けられていることもあげている。ちなみに、この問題に関する国際労働機関(lLO)の見解は、これと異なり、官公労働者なるがゆえの全面一律禁止は許されず、「不可欠役務」に従事するものにかぎって制限すべきこと、また制限する場合には十分な保障措置(具体的には、適切・公平・迅速な斡旋・仲裁手続をいい、どの段階でも当事者が参加でき、裁定は拘束力を有し、完全かつ迅速に実施されるものでなければならない、とする)を講じること、を求める。彼我のあいだには大きな懸隔がある。なお、あまり注目されることはないが、民間企業の労働者の労働基本権、とりわけ争議権についても法律によって重要な制限が課されている場合がある。労働関係調整法スト規制法(正式名は、電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律)・船員法による規制がそれである。労調法による制限は労働関係調整法の項に譲ることとして、後2者によるものをみると、スト規制法は、(1)電力事業における停電ストなどと(2)石炭鉱業における保安要員のストを禁止し、船員法は、(1)人命・船舶に危険を及ぼしたり(2)外国の港における争議行為を禁止している。


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