●歴史物語 れきしものがたり
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歴史的な事柄を物語風に叙述したものであるが,歴史文学の一ジャンルでもあり,日本の歴史物語のなかでは,宮中を中心とする歴史を和文で書いた『栄花物語』『大鏡』『水鏡』『今鏡』『増鏡』などがその代表とされる。『栄花物語』は藤原道長の栄華を中心に,宇多天皇から堀川天皇までの宮廷史を史実に忠実に編年体で記してある。これに対して『大鏡』は同じく藤原氏の栄華,人物を描いているが,帝紀・大臣列伝・志・藤原氏物語・昔物語のかたちに分けられた紀伝体である。『今鏡』以下の作品はいずれも『大鏡』の形態を踏まえ,内容も順次あとをついでいる。このような歴史的な叙述の伝統は,『愚管抄』『神皇正統記』へと続き,その文学的価値を高めていったが,中世においては,歴史物語としての体系的な叙述はみられず,『平家物語』『太平記』など一連の戦記物文学にあとを譲った。こうして平安朝の歴史物語の主流は史論書へと移ってゆくのである。