●リディア王国 リディアおうこく
AD
インド=ヨーロッパ語族の一派リディア人が前8世紀の後半小アジアに建設した国家(前730〜前546)。アッシリア帝国の滅亡後,オリエントにおける4王国分立時代を形成した王国の一つ。首都はサルディス。初期の歴史についてはヘロドトスの記録などによって知られているにすぎない。それによれば,初めにアテュス朝があり,ついでヘラクレス朝が君臨したが,前7世紀の初めキンメリア人の侵入によって倒れ,新たにギュゲス(在位前685〜前657ごろ)がメルムナダイ朝をおこした。そして王国はこの王のときに盛時を迎え,その勢力は北はプロポンティスから南はカリアに及び,東はハリュス川を境とし,西はエフェソス・スミュルナ・ミレトスなどを除く小アジア西岸のギリシア人の諸都市を従えた。首都サルディスはギリシア人・フリュギア人・周辺遊牧民の交易で栄え,この王国の富はギリシア世界にも聞こえた。特筆されなければならないのは,この王国で世界最初の鋳造貨幣がつくられたことである(前7世紀)。初めはエレクトロン合金貨幣,のちには金銀貨が鋳造され,ギリシア人に採用されて普及することになった。4代目の王アリュアッテスは,西方への進出をはかっていたメディア王キャクサレスと,前585年ハリュス川を境として和を結んだが,その日はギリシアの哲学者タレスの予言による日蝕のおこった日として知られている。次王クロイソス(在位前560〜前546)のとき,王国の最盛時を現出したが,ペルシア王キュロス2世に敗れて滅亡,その国土はペルシアに併合された。なおリディアでは音楽が盛んで,ギリシア音楽に大きな影響を与えた。