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●立正安国論 りっしょうあんこくろん

アジア 日本 AD1260 鎌倉時代

 日蓮が1260年(文応1)に著し,その年の7月16日に鎌倉幕府の前執権北条時頼へ呈上した書。1257年(正嘉1)の大地震に代表される天変地変や飢饉疫病の蔓延する深刻な混乱状況を,宗教者の立場から受けとめ,その原因を探るとともにこれを治める道を説く。つまり,乱世を招くにいたった根本は,法然の説く専修念仏がひろまり,正法(しょうぼう)たる法華経の信仰が失われようとしているからだと説く。しかも,仏が予言した7難は次々におこり,他国侵逼(じこくしんぴつ)と自界叛逆(にかいほんぎゃく)という二つの難が残されているという。この2難から逃れて理想的な国家社会を築きあげるには,〈南無妙法蓮華経〉の題目にすべての人が帰依しなくてはならないと主張する。他国侵逼の難は蒙古の大襲来となって現実のものとなり,これを巡る社会不安の深化のなかで日蓮の宗教は高揚されていく。日蓮の宗教の重要な転機をもたらした書である。1269年(文永6)に,日蓮自らが書写した『立正安国論』が中山法華経寺(千葉県市川市)に伝わり,国宝に指定されている。