●リグ=ヴェーダ
アジア インド AD
インド最古の宗教的文献。10巻。付録ヴァーラキリャを合わせ1,028の讃歌より成る。これらの讃歌は古代詩人が宇宙の現象を神格化し,その諸神に捧げた自然崇拝の宗教的抒情詩を中心とし,婚姻・葬送・天地創造の哲学詩,人生に関する歌,十王戦争の歌などを包含し,祭式の際に諸神を祭壇に勧請して讃美し,あわせて子孫の繁栄を祈るために誦唱したものである。4ヴェーダの中心をなし,膨大なヴェーダ文学の根本聖典で,上代インドの宗教・社会・思想・歴史・文化などを示すとともに,後世インド文化の根源をなす重要な文献で,讃歌の表現は素朴・古雅・雄渾・崇美である。この讃歌集の成立年代は各巻により新古の別はあるが,大部分は前1000年を中心とする前後数百年にわたるものと思われる。『リグ=ヴェーダ』の用語はサンスクリット語の古層を示してヴェーダ語と呼ばれ,言語史の上からも神話の上からも,イランの言語・神話と密接な関連をもっている。〔参考文献〕辻直四郎『リグ=ヴェーダ讃歌』1970,岩波文庫