●リカレント教育 リカレントきょういく
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OECD(経済協力開発機構)の教育開発研究センターが,加盟国におけるこれからの教育政策のあり方として提唱した教育機会の均等を実現するための成人教育の戦略。リカレントは“循環する”を意味する語。成人教育はすでに多くの国において学校教育に継続する一つの教育段階と自覚されているが,UNESCO によって提唱された生涯教育の考えが導入されることによって,個人の生涯にわたる学習,学校教育と成人教育の相互関連や連続的発展の必要性がいっそう重要視されるようになった。リカレント教育は,高度に工業化・技術化していく社会で学校教育がますます拡大・肥大していくのに対処し,生涯教育の理念に照らして成人教育を政策として振興し,新しい教育システムをつくりだそうという構想である。リカレント教育は生涯教育の理念を実践化するために,義務教育以後の教育,とくに成人教育にかかわりをもつ。それは,人生の初期に集中している伝統的な義務教育以後にも個人の全生活にわたって多様な教育を提供すること,生涯学習が組織化されるような枠組みを提供することによって,成人に「選択可能な多様な教育形態」を提供しようとする構想で,このためには,伝統的な義務教育以後の教育制度,あらゆる企業内教育・成人教育の総合化を求めている。
リカレント教育の基本的な目標は,個人の発達,機会の均等,教育と社会(とくに労働)との相互作用の保障におかれている。個人の発達では,義務教育では得られない実生活経験を学習動機として重視し,その動機を出発点として個人のもつ知的能力,人間能力の十分な発達を目標としている。機会の均等では,従来は同世代内の教育的不平等を問題とする傾向があったのに対し,それに加えて世代間の教育的不平等をも問題とし,世代間の教育的不平等に対処するため暫定的に「橋渡し教育」が必要であるとする。教育と社会との相互作用では,科学技術の進歩に対応した成人教育が提供されねばならないとし,たとえば後期中等教育を修了後,仕事につき,一定期間の労働を終えると次の教育期をもち,また仕事にもどるというように,労働と教育の結合をはかり,キャリアの向上をはかることを目標としている。
こうした三つの教育目標を実現するためにとられる教育形態は,既存の成人教育の学習形態と同様に,パート=タイムでの学習が多くなると考えられる。しかし,「いつでも」「どこでも」学習できる教育をめざすリカレント教育では,そうした「集める教育」だけでなく,放送大学,通信教育,壁のない大学といった「届ける教育」の方式も採用される必要があり,それらの教育は,いずれも柔軟性に富み,系統性と段階性を総合化した制度とカリキュラムをもって運用されなければならないことになる。こうしたことから,リカレント教育は,文明の進展とともにますます肥大化する学校教育に対し,個人の生涯にわたる発達を図るための大人のための総合的な教育機会の確立をめざす一つの実践的な構想であるといえる。
〔参考文献〕文部省大臣官房『リカレント教育――生涯学習のための戦略――』MEJ6856,教育調査・第88集,1974
OECD 編,森隆夫訳,『生涯教育政策――リカレント教育・代償教育政策――』1974,ぎょうせい