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●理科教育 りかきょういく

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 自然科学の知識や概念あるいは原理・法則,およびそれらが獲得される過程で用いられる諸技能を体得させると同時に自然事象への関心態度や科学的態度・創造的態度を育成することを目的とする教育をいう。科学教育と同義語であるが,わが国では1886年(明治19)の学制改革以来「理科」という学科名が用いられるようになり今日にいたっている。小・中学校では「理科」という学科名だけであるが,高等学校では「理科」のなかに,「理科 I 」「理科 II 」「物理」「化学」などの“科目”が設けられている。

【必要性】理科教育が学校教育に登場しはじめたのは,19世紀の初めごろである。それは自然科学が発達し,科学知識や科学における考え方が,日常生活や産業に重要な役割を果たすようになったためである。換言すればきわめて実利的立場からの国家や社会の要請に応えるためであった。しかし今日の理科教育は,人間形成の立場から,自然事象と人間性とのかかわりあいを重視し,子供の心身の円満な成長発達には,自然環境(物的環境)との相互作用が不可欠であるという認識に立っている。つまり人間形成の一環として理科教育が重視されるようになっている。その理由には,科学・技術が急速に発展し科学に対する考え方が変わってきたこと,心理学などの人間に関する科学が発展したことなどがある。人間の心身の発達は,認知面・感覚運動面(技能面)・情意面の3側面から考えられる。そのうち認知的能力は,物的環境である自然事象に挑戦しそれを理解することによって発達する要因が大きい。技能的能力も自然事象に挑戦する過程(探究過程)で獲得されるものが多い。また,情意面もその過程で養われる。

【教育内容】理科の教育課程(カリキュラム)は,自然科学のなかから基礎的・基本的事項を精選し,学習者の発達段階に合致するよう構造化して配列するのが原則である。基礎的・基本的事項には,自然科学の基礎基本なるような科学的概念とそれらを獲得するために用いられる探究の技法(科学の方法)とがある。科学的概念学校段階によって異なるが,小学校段階では,物質概念・生物概念・時間−空間概念・量概念などの初歩である。中学校段階では,これらにエネルギー概念が加わる。それぞれの概念は,階層的にいくつかの下位概念に分析される。

 探究の技法は,科学の探究過程でもちいられる具体的な操作や考え方である。自然科学の探究過程は,厳密には個々の領域や研究問題・研究者によって異なるが,共通したパターンがある。それは次のとおりである。問題把握→情報収集→情報の整理→情報の解釈→法則性の発見→法則の適用や応用。それぞれの過程には,特徴的な技法がもちいられる。情報収集の過程では,観察と記録・測定・条件コントロール・実験などがあり,情報整理の過程では,分類やグラフ化などがある。情報解釈の過程では,推理・推論や予測,操作的定義,データの解釈,数式化などがある。これらの技法を修得することは,科学知識そのものより重要であると考えられている。

【指導方法】理科の指導方法には,従来いろいろな指導法が提案されたが,現在では探究学習または発見学習が主流となっている。探究学習では,学習者を豆科学者とみなし,自然科学の探究過程を学習過程とするような指導法である。つまり学習者に実験などにより自然の事象を探究する過程を追体験させることにより,科学的概念探究の技法の両者を統一的に把握させる学習法である。そのために個々の教材を,学習者の発達段階に合致した探究過程に再編成する必要がある。それが理科の指導計画立案の主要部分である。