●ラーマーヤナ
アジア インド AD
古代インドのサンスクリット語で書かれた大叙事詩で,『マハーバーラタ』と並び称される。作者は詩仙ヴァールミーキといわれるが,実際は編纂者だろう。成立は前500年ごろといわれ,古くからインドに語り継がれた古代のアヨードヤ国の英雄ラーマ王子に関する伝説がまとめられ,7編2,400頌となった。主人公ラーマをヴィシュヌ神の化身として取り扱い,史詩に宗教的意義を与え,後世ラーマ崇拝を流行させる因をなした。ラーマの貞節な妻シーターは婦人の範とされ,ラーマを助けた猿人ハヌマットは村々で崇拝され,またラーマ追放後の王座を兄への忠節で守りとおした異母弟バラタの態度は騎士道のお手本とされるなど,いずれもインド社会の長い歴史のなかに生きつづけている。この物語はサンスクリット文学はもちろん,近代インド諸方言文学,さらにジャワ・マライ・タイなどの南方諸国にも早くから伝えられ,日本にも仏典をへて,平安末期にはその概略が伝えられている。