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●ラーベ

ヨーロッパ ドイツ連邦共和国 AD1831 ドイツ連邦

 1831〜1910 ドイツの詩的写実主義の代表的作家。ブラウンシュヴァイク侯領エシャースハウゼンで判事補の長男に生まれ,マグデブルクで書店見習い,ベルリン大学聴講生をへたのち,ヴォルフェンビュッテル・シュトゥットガルト・ブラウンシュヴァイクで作家生活を送り,長短約70編の小説を残した。三月革命後から帝政期にいたる急激な歴史的社会的変動を直視し,真実の人間性や人間の尊厳を擁護し探求した作家で,処女作『雀横丁年代記』(1856)ですでに示される下層の人々への人間愛,社会になじめぬ者への同情と理解は,ラーベの全作品の基調となっている。また『飢餓牧師』(1864)の主人公の実存的苦悩の克服志向はそのままラーベ一生の内面的苦闘であり,フモールの源泉でもある。ロマン派的情緒や愛国性も含み読者を得た初期とは異なり,厳しい現実批判と厭世観が作品を覆うのが中期の特徴で,『アーブー=テルファン』(1867)では小市民の俗物性に矢が向けられ,『死体搬出車』(1870)は経済的利害のみを追う利己主義に支配された世界の悲痛な批判であり,暗い厭世観の表出であった。後期の円熟した作品『ホラッケル』(1876)ではその暗さは,軽薄なプロイセン化の風潮に無私の愛の真実を対照させ得るフモールに吸収されており,また『古巣』(1880)・『シュトップフクーヘン』(1891)・『フォーゲルザング村の記録文書』(1896)などは独特の多層的物語法を案出していて興味深い。語り手が,ともに過ごした少年期からの主人公の生き方を,強い影響の余韻のなかで回想するというもので,時間と視点の交錯のなかで語り手と主人公との対照的な立場や考え方が浮き彫りにされる。ラーベはジャン=パウルやロマン派の詩人たちの空想の遺産を,写実的叙述や現代にも通ずる時代批判とに,その独特のフモールで結びつけた作家であるといえる。