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●楽園の喪失 らくえんのそうしつ

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 ミルトンの長編叙事詩。1667年出版。全12巻1万1,000行からなる。『旧約聖書』の「創世記」第1章から第3章の,天地創造と人間の追放を素材とする。天国・地獄・地球を舞台に,悪魔サタンの反逆から神の御子キリストによる人類の救済までを展望におさめた壮大な作品。人類の堕落と贖罪を主題とする。高慢ゆえに地獄におちたサタンは神への復讐を決意し奸計により人を誘惑する。人はついに禁断の木の実を食べ堕落する。罪に呻吟する人を哀れむ神は罰とともに贖罪の展望を与える。人は悲しみつつも神の摂理を信じて心安らかに楽園を去る。サタンは当初は武勇に秀でた伝統的な英雄の姿に描かれるが,しだいに矮小化され否定されるにいたる。堕落にもかかわらず罪を悔い「正しき理性」を頼みとして善を指向する人のうちにこそ,ミルトンは真の英雄的資質を認めるのである。

〔参考文献〕新井明訳『楽園の喪失』1978,大修館

平井正穂訳『失楽園』1979,筑摩書房

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