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●読本 よみほん

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 近世小説の一分野で,短編の前期・長編の後期に分けられる。当初は絵本で読みやすい中本,まもなく半紙判になった。絵双紙と違い,画面に文字が入らず見開きの挿し絵が一冊に4,5枚ほど載っていた。長編化して5冊物が通例となった。絵入り読本・小説・稗史と書かれる場合もあった。風俗性・演劇性の濃い上方系八文字屋本から脱し,中国白話小説の影響を受けてロマネスク性を強め,叙事的な伝奇物を主な系列とした。1749年(寛延2)の都賀庭鐘『古今奇談英草紙(はなぶさぞうし)』から本格化し,上田秋成雨月物語』に見られるように,和漢折衷体によって雅文学志向があり,俗文芸に甘んじていた小説の存在を変化させたとしてよい。後期は曲亭馬琴南総里見八犬伝』に象徴されるように,長編化が進み近代小説の先駆をなした。しかし寛政改革後の読み本は教訓性に捉われ人間描写に深度が認められず,類型化が目立つ。