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●義経伝説 よしつねでんせつ

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 武将源義経を理想化して物語る英雄伝説。義経は木曽征討・平家追討と輝かしい戦功のあった武将である。にもかかわらず兄源頼朝に容れられず,追放・迫害の身となり,流浪のうちに薄命の生涯を平泉に終える。しかもその栄光と悲劇の生涯はその前も後も深い謎に包まれている。この英雄はどこから歴史に来たのか。どのようにして歴史から去っていったのか。義経伝説は,その謎ときをしながら,この不遇のうちに生涯を閉じた英雄に対する同情・哀惜の心を英雄賛美の詩(うた)に高めたものである。すでに『平家物語』がそういうローマン化の始まりであった。『義経記』はそのロマンを歴史小説に展開していた。そして近世におけるさまざまな判官物を生み出す。義経伝説の心は,いわゆる「判官贔屓」(ほうがんびいき)として,悲劇をいたむ日本人のロマンの心を表すものとなっている。

〔参考文献〕高橋富雄『義経伝説』1966,中央公論社