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●吉川神道 よしかわしんとう

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 江戸時代の初期に吉川惟足によって唱えられた儒家神道である。惟足は当時の吉田神道の最高権威であった萩原兼従の教えを受け,吉田神道を忠実に受け継ぎながら朱子学的な理解を施している。惟足の教説の特色は神道の宗教性よりもむしろ道徳性を強調する点にあり,神道の本旨は一般の神社の祭祀や行法に関連する行法神道にあるのではなく,天下を治める道としての理学神道にあると主張した。吉川神道の教義は,朱子学の中心的概念である“太極”を万物に内在する本質と認め,それを『日本書紀』冒頭に登場する国常立尊に結びつけ,人間に内在するそれが心でありその顕現した姿が天照大神であると言う。すなわち神と人の本性は合一であり,人は修養を積むことにより神性が得られる。そして誠の心をもって皇室を盛り立てていけば,世のなかは無事治まると説いている。

〔参考文献〕平重道『吉川神道の基礎的研究』1966,吉川弘文館