●謡曲 ようきょく
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一種の楽劇である能の舞・類型的所作・伴奏音楽と並ぶ主要素をなす,登場人物等の科白や歌唱をさして古く謡と称した。またその節付した詞章を謡本と呼んだが,それは能の簡略な脚本の役割をももった。世阿弥当時から謡は能と切り離しても謡われ,しだいに愛好者に楽しまれ流行能の謡本の書写が重ねられた。1600年(慶長5)鳥養道晰の車屋本刊行から,各流で百番・二百番等の謡本が出版された。1772年(明和9)に詞章の注釈書『謡曲拾葉抄』が出て,謡曲の呼称が広がったと見られる。創作された謡曲は3,000以上とされるが,能の脚本として上演に耐える作品は少なく,現在各流で保持するのは約250番である。謡曲は,シテ・ワキ等の人物や地謡の合唱部分等に分けて記され,序・破三段・急の五段を基本単位として内部構成される。文体は,縁語・掛詞・序詞等の技巧と,和歌・物語・漢詩等に典拠のあることばを駆使した装飾的なものである。