●ユーカラ
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アイヌ民族の口承文学の一種で,広義には「神謡」(神のユーカラ)と「英雄詞曲」(人間のユーカラ)とに大別されるが,通常ユーカラといえば,後者をさす場合が多い。「神謡」とは,アイヌにとっての神々が主人公となって自分の体験を語る,という形式の比較的短編の物語であるが,胆振(いぶり)・日高地方では,アイヌの始祖である半神半人の神オキクルミ(またはサマイクル)の活躍する「神謡」を,「聖伝」(オイナ)と呼んで区別している。人間の英雄をヒーローとする「英雄詞曲」には種々のものがあり,北海道南西部では「ユカラ」,「ヤイラプ」,同北東部では「サコロベ」,樺太では「ハウキ」などと呼ばれている。しかし,いずれも主人公の名前が異なるだけで,物語の内容や吟誦の仕方はほとんど同一である。1編当たり,短くても2,000〜3,000行,長い場合は数万行に及ぶものがあり,このため完全な形で伝承されたものは少ない。江戸時代より“蝦夷浄瑠璃”などと呼ばれていたが,明治時代以降,金田一京助らによるアイヌ古老からの積極的な採集,筆録活動によって,広くその存在が知られるようになった。