●唯名論 ゆいめいろん
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スコラ哲学における,普遍論争をめぐる立場の一つ。事物を認識するさい,それらを思考にとらえるときに現れる普遍,すなわち一般者の概念(例:人間)と,それがさし示す事物(例:個々の人たち)との対応をめぐる論争であって,この論争は,一般者の概念は実在する(事物である)か,それとも思考においてのみあるものか,という問いに発する。唯名論は,それが単なる名目であり,ことばにすぎないとする主張に始まった。物の本質をなすところの,一般者の概念が,実在(事物)との対応を否定されたことになる。しかしのちには,一般者の概念は,事物ではないけれども,単なることばではなく,思考のなかに存在して,事物に存在する状態に対応することばである,とされるにいたった。この後,唯名論はより徹底した形において主張され,近世以降もしばしば哲学の系譜に現れ,現代の実証主義の哲学に受け継がれている。