●唯識論 ゆいしきろん
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サンスクリットのヴィジニャプティ=マートラターの訳語。インド仏教の瑜伽(ゆが)派,中国仏教の摂論家,法相宗などが主張する,万有は識(純粋な精神作用)にほかならぬとする説。識る心を離して,いっさいは視察しえないとする観念論的色彩を持った経験論で,(1)対象界は禅定中の表象・夢中の表象のように識を離れては非有で,識の影像の顕現であるとする影像門の唯識説,(2)物心いっさいの存在は心体である阿頼耶識(あらやしき)の転変より構成されて生ずるものとする縁起門の有識説,(3)説法の特質を偏計所執性,依他起性,円成実性の三性に分け,その認識論的・実在的関係を説く三性門の唯識説,の3方面の理論で,互いに関連し合って唯識説を構成するとされている。インドでは弥勒・無着・世親などの学匠によって組織的に説明され,中観派とともに学派を形成した。中国では玄奘がこの説を伝え,日本には法相宗として伝わった。