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●遺言 ゆいごん

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 死後,財産の相続や身分の継承などに一定の拘束力をもたせようとしてなされる意思表示。法律上は“いごん”と呼ぶ。現行民法でも明治民法を踏襲して,相続編に遺言の章が設けられ,総則以下,遺言の方式・効力・執行・取消について詳細な規定が認められる。遺言の規定は早く古代律令制に現れ,以後長く,いろいろな形で用いられてきた。これが最も発達したのは江戸時代の庶民社会で,当時家督相続人や後見人の指定,遺産の分配など遺言によることが多かった。そして遺言のためには遺言状を作成するのが通例で,その執筆や捺印,保証人の加判,その封印・寄託・開封などについても一定の方式が整えられた。このような慣習は明治時代にもち込まれ,中期には法的にも整備されたものの,慣行としては逆に衰微していき,現在ではむしろこれを避けようとする傾向さえうかがわれる。それは一般の人々が法律になじまないというだけでなく,長子相続の普及により相続慣行に多様性が失われたことにも原因が求められよう。