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●山部赤人 やまべのあかひと

アジア 日本 AD 

 生没年未詳。『万葉集』第3期の歌人。724〜729年(神亀年間)に活躍し,736年(天平8)の歌が,作歌年代判明の最後である。天皇に従って,各地の行幸に供奉した雑歌を有する宮廷歌人である。その歌は,叙情性を避けて,つねに客観性に徹し,対象を鋭利にとらえる。たとえば〈みよしのの象山の際の木末(こぬれ)にはここだも騒く鳥の声かも〉などの歌にみられるように,一点に収斂していくような,求心的な調和の世界がある。長歌では,対句仕立が多く,春と秋,山と川,日と月など,安定した歌い方となっている。反面,型にはまった平凡な歌い方もあり,柿本人麻呂と並べて,“山柿”と称されるが,疑問視する考え方も出てきている。が,『古今集』の仮名序で取り上げられるように,その作品は,万葉歌人のなかでは,後代の歌人たちに最も愛好されている。この期になると,和歌の世界にも,個の自覚が深められるが,その一人として指摘できよう。