50音順    検 索

●山上憶良 やまのうえのおくら

アジア 日本 AD660 

 660〜733?(斉明6〜天平5?)『万葉集』第3期の歌人。702年(大宝2),遣唐使に従って入唐。726年(神亀3),67歳で筑前守として九州に赴き,大宰師(だざいのそち)であった大伴旅人(たびと)と親しく交わった。いわゆる“筑紫歌壇(つくしかだん)”と,いわれている。733年(天平5),74歳のころには都に帰り,辞世と思われる歌を詠んでいる。〈山上臣憶良の,病に沈みし時の歌一首 をのこやも空しかるべき万代に語り継ぐべき名は立てずして〉が,それである。憶良は,渡唐のことも含め,漢文学の素養が豊かで,社会・人生を主題とした和歌,漢詩文が多い。恋愛の歌ではなく,子に対する父の心,家庭を思う心などを,歌っている。当時は,長歌も短歌においても,初期のみずみずしいエネルギーは,しだいに失われていた時代といえる。そのなかで,憶良は,さまざまの新しい表現上の試みをし,独自の文学の世界を,構築してゆく歌人でもあった。