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●屋根 やね

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 最も古い屋根は,茅(かや)などによる草ぶき屋根と考えられているが,その他にも板ぶき・檜皮(ひはだ)ぶき・杉皮ぶきなどもある。特殊な例として対馬などにみられるように石ぶきなどと称して,板状に割った石でふいた例などもある。瓦は大陸から入ってきたもので,寺院などにまず用いられ,しだいに民家にも普及した。草ぶき屋根は,材料としては茅などが主流であるが,関東以西の沿岸部には麦からぶきが多くみられる。その傾向は,太平洋沿いに西へ行くほど強い。海浜・湖沼に近いところには芦ぶきもみられる。とくに琵琶湖のある滋賀県では顕著である。長野県・岐阜県などの山間部では,その豊かな樹林を背景に板ぶきがみられる。栗材を1cm弱の厚さに割り屋根におき,押縁(おしぶち)を配して石を置き押さえる。杉材の多いところでは,杉板も使うが耐久性はあまりよくないので,付属屋などに使用する。杉皮は水に強いが,乾きには必ずしもよくない。仮設小屋や軒庇(のきびさし)などに用いることがある。東京三多摩方面では,茅にこの杉皮を交ぜて使用し,その欠点をカバーしての利用がみられる。檜皮ぶきは神社によく用いられるが,単価が高く一般民家には普通用いられなかった。草ぶきについで多いのは瓦屋根である。宮崎県南部には一部,竹ぶきと呼ばれるものがみられる。太い竹をかまぼこ型に二つ割りにして,割り口を上に向けて並べ,次に割り口を下に伏せるようにして,前者の竹材のつぎ目をまたぐように置いていく。その2重に並べた様は,本瓦ぶきの原理と同一である。この竹ぶきは昔はもっと広く行われたようだが,今はすっかり衰退してしまった。南方諸国には,今なお多くみることができる。瓦ぶきの原理をそこにみる思いがする。瓦は耐久性はよいのであるが,重いため建物全体に大きな加重がかかる。そこで小屋組はもちろん軸組にもそれだけの対策が必要で,それだけに費用も多くかかる。対馬の石ぶきは半永久的だが,瓦以上に加重がかかる上,どこでも適材が得られるというわけにはいかない。

【屋根型】屋根の型は,そのふき材にも左右されるが,入母屋造切妻造が最も多く全国的にみることができる。とりわけ,入母屋造は,形もよく屋内のいろりから出る煙がほどよく破風から排出できる。しかし,ほかの型に比べて破風構造は複雑で技術を要し,風害により傷み易い。そのために雨漏りの原因にもなる。草ぶきは,いろりの煙と熱でふき材が消毒でき雑菌の繁殖を抑える効果がある。堂宮はそれがなく,民家の屋根より傷み易い。屋根棟も民家より高く風を受け易い上に,形もよくしなくてはならない。また森のなかにあることが多く,通気性に劣り,日照時間も少ないという悪条件も多い。したがって,一段と良質な材料と技術が期待される。切妻造は,伊勢の皇太神宮をはじめ神社に多い。長野県木曽,伊那谷から塩尻,諏訪にかけて分布していた板ぶき屋根も切妻であった。草ぶきでは,岐阜県白川村や富山県五箇山地方の大家族村にもみられた。この切妻屋根は妻側に大きな窓をつくり,明りがとり易いが,風の低抗が大きく,吹きつける雨に妻側が弱い欠点がある。それを補わなければならない。東北の曲屋は有名であるが,関東以北に多い。これと似たものに中門造がある。いずれもコの字型に主屋から突出部がつくられたもので,この突出部に出入口がつくられたものを中門といい,屈折部内側にあるものを曲屋といって区別している。こうした屈折部をつくることは,とくに草ぶきの場合,乾きにくく傷みが激しいので,杉皮を入れたり苦心している。そのほか,二棟造といい主居とカマヤなどが別棟になっているものが,房総半島先端,静岡県浜名湖付近,南九州および沖縄・奄美諸島に分布する。クド造・セイロ造などと呼ばれる複雑な屋根形体のものが九州地方に分布している。その理由は必ずしも明らかでない。

〔参考文献〕杉本尚次『日本民家の研究』1969,ミネルヴァ書房

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