●野獣派 やじゅうは
ヨーロッパ フランス共和国 AD
1905年,パリのサロン=ドオトンヌの一室には中央にマルクのおとなしい小像が置かれ,それに反し周囲の壁は強烈な原色と奔放な筆致のセンセイショナルな作品の一群で占領された。これを見た批評家ヴォークセルは“野獣(フォーヴ)にかこまれたドナテルロ”と評した。それ以後,彼らを野獣派と呼ぶようになった。その中心はマティスで,マルケ,ルオー,ヴラマンク,ドラン,デュフィ,ブラックらが加わっていた。しかし彼らの主張は,印象派のその後がしだいに奇麗ごとにおさまり,鮮明な色彩の感動も稀薄になるのに我慢ならず,ゴッホやゴーガンの作風,ビザンティン,ペルシアの美術,日本の浮世絵版画などに刺激され,単純化されたフォルムと原色の炸烈による画面を生み出した。まさしく20世紀絵画創作の起爆剤の役割を演じ,やがてダダ,シュールレアリスムへと流れ,現代絵画の一つの底流となり,現在もその精神は生き続けている。