●養い親 やしないおや
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幼児期にとり結ばれる擬制的親子関係の親の名称。民俗学でいう仮り親の一種。幼児の順調な生育を願って他人に親になってもらう慣習で,養い親という名称は九州南部と奄美・沖縄地方にひろく分布していたが,信州松代藩の武家社会にも存在したことが記録にみえる。養い親に対し,子供のほうは養い子である。沖縄本島の国頭地方では今日でも存続しており,弱い子や夜泣きのひどい子があると,親子の相性が悪いからということで,実親自身か三世相によって養い親が選定される。養い親には普通は親類のものを頼むが,他人の場合もある。以前は母親と子供が養い親の家に1晩泊るものであったが,今日では子供の衣服のみ預けるという。養い親とその子は生涯にわたって親密な交際をつづけるのである。養い親の条件としては以上のほか,年寄,貧しい人,とくに鹿児島県では旅商人とかシオトト(塩父)と称して塩売の行商人が良いとされた。また高知県では鍛冶屋をケンヤクオヤに,東北で神官や僧侶・イタコ,それに番太を親に頼むというのも,養い親という呼称ではないが実質的には同じ慣習といえる。