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●ヤケ族 やけぞく

アフリカ ナイジェリア連邦共和国 AD 

 ナイジェリアの南東部,クロス=リバーの中流に住む農耕民で,ヤム芋を栽培し,ヤシ油を生産する。セミーバントウー語系に属する。人口約2万人。イギリスの社会人類学者フォード(1902〜1973)の調査によって知られる。ヤケ族の領土は五つの村落からなり,各村落は幾つかの地区に分かれ,地区はさらに地縁的な父系クランからなり,クランはリネージへと分節していく。父系リネージのメンバーは3〜5世代前の共通の祖先から出自をたどる。父系リネージは居住地や耕作地・樹木などに対しての権利を保持し,それらは父系リネージのメンバーに相続されていく。父系クランは外婚単位となり,クランの儀礼を行う祠(ほこら)を共同で管理する。儀礼の司祭権も父系を介して継承される。しかし,ヤケ族では父系だけでなく,母系を通じてのきずなも存在し,各人は父の父系リネージ,クランのメンバーであると同時に,母の母系リネージ,クランのメンバーでもある。夫方・父方居住のため,母系クラン,リネージのメンバーは村落内の父系クランの領土に分散することになる。母系リネージがもう一つの外婚単位となる。家畜・家財・通貨などの動産が母系リネージのメンバーに相続され,豊穣霊の儀礼の司祭権が母系クランのメンバーに継承されていく。このように,ヤケ族は典型的な二重単系制の社会なのである。