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●モロ族 モロぞく

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 フィリピンの南部,ミンダナオ島やスールー諸島に居住するイスラーム教徒の総称。1975年の統計によれば人口は総計約158万人を数えるが,厳密にはマラナオ・マギンダナオ・タウスグ・サマル・ヤカンなど十数の部族に細分化される。モロ社会がイスラーム教を受容しはじめたのは14世紀後半のことであるといわれるが,とくにスペインの植民地政府の時代にはその体制下に組み込まれることに抵抗し,1578年以来約300年間抗争を継続させた。現在でも文化的独自性を主張して政府や周辺のキリスト教社会とのあいだにしばしばトラブルが生じており,とくに1970年代初頭にはモロ民族解放戦線(MNLF)による激しい武力闘争が展開された。生業としては農業が一般的であるが,バジャウ族のように巧みな操船技術をもって漁業に従事するグループもいる。イスラーム教徒としてアッラーを崇拝する一方で,いまなお土着の精霊信仰を維持しており,樹木や巨岩に住むとされる悪霊にも供儀や祈祷を行う。

〔参考文献〕梅棹忠夫編,東徹・原一男訳『東南アジア島嶼部』世界の民族10,1979,平凡社