●森戸事件 もりとじけん
アジア 日本 AD1920 大正時代
東大経済学部助教授森戸辰男の筆禍事件。森戸が同学部機関誌「経済学研究」創刊号(1920年,大正9年1月)に論文「クロポトキンの社会思想の研究」を発表したところ,上杉慎吉教授を中心とする学内右翼団体興国同志会がこれを危険思想を宣伝するものとして攻撃したため,同学部は雑誌を回収し,1月森戸を休職処分とした。さらに興国同志会が官辺に働きかけたため,新聞紙法第42条朝憲紊乱罪で森戸とともに編集発行人大内兵衛助教授が起訴され,大内も休職処分となった。3月東京地裁は,安寧秩序を乱したとして新聞紙法第41条違反で森戸に禁錮2カ月,大内に罰金40円を判決した。検事側が控訴すると,東京控訴院では第42条違反とされ,森戸に禁錮3カ月・罰金70円,大内に禁錮1カ月(執行猶予1年)・罰金20円が言い渡された。被告側が上告したが,10月大審院は上告棄却を決定した。この結果二人とも東大を失職した。この事件に対して世論は,こぞって学問研究の自由を圧迫するものとして抗議した。