●物言う魚 ものいううお
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捕えられた魚が口をきいたので驚いたという伝説。宮城県登米郡東和町錦織来不来の滝(マサボウ滝)の伝説では,旅僧がこの滝で2匹の鰻を見て1尾を捕え,袋に入れて行こうとすると,淵のなかから〈マサボウヤマサボウヤイツ来ルカ,マサボウヤ〉という声がする。すると,袋のなかから〈来ルカ来ズノマサボウヤ〉と答えたので,驚いて袋から出して放したという。神奈川県津久井郡藤野町日連のテンゴンボウ淵の伝説では,ある男がそこで鰻をとって帰ろうとすると,淵のなかからテンゴンボウと呼ぶ声がした。それに答えるようにびくの鰻が「イマ行クゾヨ」といったので,驚いてびくを投げて帰ってきたという。魚が口をきいたという伝承は全国的に分布し,その土地での信ずべき事実譚のように語られている。近世の『裏見寒話』にもかかる伝承が載録されている。沖縄・宮古島・八重山群島には,物言う魚が大津波を呼んだという伝説がある。