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●牧谿法常 もっけいほうじょう

アジア 中華人民共和国 AD 

 13世紀後期,中国,南宋時代,四川省蜀の出身。生没年は不明であるが南宋の都に近い西湖畔の六通寺の開山であった。牧谿は号,法常は法名で禅僧であり画僧でもあったが,くわしい画歴は不明である。

 しかし,手広く多様な題材を消化し,著名であったらしく,彼の没後同地に入元した日本の黙庵霊淵が「牧谿の再来」と称讃されたという。ただしこのころは文人画の隆盛期に入り,牧谿画は低くみられていた。しかし日本ではその後室町時代に入って,禅宗全盛期を迎えたため,多数の宋元明の水墨画が舶載され,その品定めの段階において『御物御畫目録』に牧谿は多数収納され,また『君台観左右帳記』においても〈上々〉位にランクされて,中国とは比較にならぬ高い評価をうけている。それらはほとんど彼の代表作で,たとえば若いころの作「蜆子和尚図」や,円熟後の作,大徳寺の3幅対「観音猿鶴図」など,南・北画融合の理想主義的な様式の完成者であったからである。