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●木製容器 もくせいようき

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 容器は物を入れる器,または物を貯えておく器である。木製容器には桶・樽・槽・櫃・籠などがあり,衣類・食器・書類などを収納する箪笥や箱類もその範疇に入る。これらの容器を製作別に分類すると,刳物・換物・曲物・結物・指物・編物に分けることができる。刳物はナタやチョウナのような刃物で木を刳ってつくるもので,「刳る」という技術は「割る」と同様に木を加工する最も素朴な技術であって,古くから行われてきたようである。刳物の容器には槽がある。槽には台所などに置いて水を貯える水槽,牛馬に餌をやるときに用いる餌槽,麻の皮を剥ぐときに用いる苧ひき半挿,または苧ひき槽などがある。とくに桶の普及が遅れた東北日本で多用され,比較的水に強いクリ・ケヤキなどの材が使われた。換物の容器には茶櫃・茶筒・箸立てなどがある。茶櫃は茶道具を入れておくふた付きの円筒形の容器で,客が訪れると一家の主人がわきに置いてある茶櫃から,中の茶器をとり出して接待する風は今日でもみられる光景である。この茶櫃や,煎茶や番茶を入れておく茶筒,それに容器ではないが茶盆・茶卓などの茶道具は,日本人が煎茶を飲む風習がひろまるにつれて普及していった。茶が普及するのは一般に江戸時代の中ごろといわれ,主として町方の道具として使用されてきたようである。曲物はヒノキ・スギなどの板をうすく剥いで湯につけて曲げ,サクラやカバの皮で縫い合わせ,底やふたをつけた容器である。貯蔵用容器のほかに運搬用具(手桶,水桶などの桶類)・調理用具(蒸籠,鉢,挽きおとし桶)・住用具(火鉢・炭櫃・花桶・小物用の箱)などがあげられる。このほか容器・食器・運搬用具のいずれにも機能している弁当箱(メンパ・メンツ)がよく知られている。曲物は実に多様な器を生み出してきた技術で,現在のところでは奈良の都であった平城京から発掘されているものが一番古い資料であろう。曲物の容器は飯櫃・菓子鉢・重ね鉢・炭櫃・箱類があるが,いずれも小型のもので,水分の少ない固型のものを入れる容器が多い。これは柾目の板をうすく剥いでつくるために大型のものは耐久性に乏しく,また水気のあるものを入れておくと,容易に水分を透してしまうからである。曲物のなかには桶と呼ばれているものが多いが,桶は古くは「麻の笥」といわれていたようで,笥は広い意味で容器をさしている。麻糸を紡ぐときに用いるのが麻の笥で,オボケなどといって曲物を使っていた地域は多い。今日一般に桶というと,何枚もの板を結い合わせて円筒形をつくり,竹のタガをはめたものをいうが,曲物の桶と区別するときは結桶・結樽などと呼んだ。曲物にくらべて結桶の優れている点は大きな容器ができること,修理が容易なこと,丈夫なこと,そして水分・とくに酒・醤油・味噌などアルコール分や塩分を透しにくいことがあげられる。そのため室町時代のころから結桶の技術が普及するにつれ,桶の主流は曲物から結桶に変わっていく。とくに結桶・結樽の果たした役割は醸造・製塩・漁業などの産業面に著しかった。水気の多いものを貯える桶や樽は板目取りにした。80年余りもへたスギの大木を玉切りにしてミカン割りに割り,年輪にそってゆるやかなカーブをしたナタで割っていく。この板を組み合わせた桶は水分や塩分を透しにくく,しかも大きな容器をつくることができた。直径・高さとも六尺余りもある醸造用の大桶がその代表的な例で,これによって酒や醤油を大量に醸造することができ,樽につめて遠隔地への輸送が可能になった。空いた樽は一般家庭にも入り込み,漬け物用・味噌醸造用に用いられてきた。結桶は手桶・水桶・手水桶・ツルベ桶・荷ない桶・寿司桶・飯櫃・たらい・風呂桶・棺などがあるが,多くは柾目取りである。それは一般的に水を貯めておくか,また固形のものを入れておくからである。このほかに箪笥や箱類は指物,木をうすく剥いで籠状に編んだ編物の容器がある。木製容器は生活用品として,また産業用として重要な役割を果たしてきた。