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●孟浩然 もうこうねん

アジア 中華人民共和国 AD689 唐

 689〜740 唐代の詩人。盛唐詩の全盛期を開いた人として知られる。本名は浩,字が浩然であったとする説もあるが,その説はよるところが不明で,本名も字も浩然であったとする説が一般的である。襄陽(湖北省)の豪族の生まれで,30歳のころまでは仕官の望みももたず,土地の名士として,仏教や道教の修行者たちと親交をもっていた。30歳を過ぎたころ,則天武后の時代が終わって玄宗の全盛期を目にするようになってから仕官を志し,名宰相の誉れの高かった張説張九齢に近づいたが,科挙の試験(官吏採用試験)に合格していなかったので仕官も果たされず,故郷に帰って鹿門山に籠り,自由な詩人として一生を終えた。仕官を求めて都に出たときには王維とつきあいがあり,自由人の生活に入ってからは,王昌齢や李白らの詩人と親交をもった。李白はとくに孟浩然を尊敬し,李白の生涯にも強い影響を与えた。孟浩然の絶句〈春眠暁を覚えず〉の句にはじまる作品「春暁」はよく知られているが,彼の作品には光や音,そして香りをたくみに調和させ詩に詠ずる才能があり,また空間描写に優れるところがあった。そうした孟浩然の詩才は,やがて王昌齢や王維,そして李白に強い影響を与え,かくして孟浩然から盛唐の詩風がみごとに開拓されたのであった。

〔参考文献〕鈴木修次「孟浩然論」『唐代詩人論』1,1979,講談社