●メーリケ
ヨーロッパ ドイツ連邦共和国 AD1804 ハプスブルク朝
1804〜1875 ドイツの詩人。生まれ故郷の南ドイツ,シュヴァーベンで牧師や教師をしながら詩作を行った。時代が直面していた政治や社会の煩雑な問題や自己の能力の限界を超えた問題にはかかわり合わずに,節度ある世界内での平和と秩序を理想として実現しようとした,いわゆるビーダーマイアー派文学を代表する詩人の一人であった。その質朴であると同時に繊細優雅な抒情詩は古典主義的造形性,韻律の音楽的美しさ,自然感情の深い敬虔さなどが結び合って,高い完成度を示しており,そのなかにはシューマンやヴォルフなどの音楽家によって作曲されたものも数多い。初期の長篇小説『画家ノルテン』(1832)はゲーテの『ヴィルヘルム=マイスター』にならった教養小説的な作品であるが,他面,人間性の意識下の闇の部分を心理学的に照射しているという点では,近代的な心理小説として,その斬新な側面が注目される。メーリケの散文作品の頂点をなすのは,『プラハへの旅路のモーツァルト』(1855)である。彼が終生愛したモーツァルトの生と死をテーマに,迫りくる死を予感しながら,華麗な創造に身を燃やし,無邪気に戯れるモーツァルトの存りし日の姿が抒情豊かで精妙な筆致で描き出されており,ドイツ短篇小説の最高傑作の一つに数えられる。
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