●メラネシア諸族 メラネシアしょぞく
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メラネシアは,赤道以南でほぼ180度の経線以西の範囲にあたり,ニューギニア島から南東方向にアドミラルティ諸島・ビスマルク諸島・ソロモン諸島・ニューヘブリデス諸島・ロイヤルティ諸島・ニューカレドニア島・フィジー諸島などよりなる地域をさす。メラネシアとはギリシア語で“黒い島々”を意味する。同地域諸族は身体特徴的には,オセアニック=ネグロイドと総称され,さらにネグリト系(ニューギニア中央高地にみられ,低身・黒褐色の皮膚・渦状毛・広鼻・短頭・多毛性を特徴とするグループ)・パプア系(ニューギニア島の大部分に分布し,中等身・渦状毛・長頭・鉤鼻・多毛性・眉上弓および下顎の発達を特徴とするグループ,皮膚は赤褐色から黒色まで多様)・メラネシア系(ニューギニア南東部からほかのメラネシア島嶼すべてに分布し,波状毛を特徴とし,パプア系よりも幾分高身で体毛・下顎の発達は少ない。皮膚は淡褐色から黒色まで偏差が大きい)に下位区分される。しかし小島嶼には地域的にミクロネシア系およびポリネシア系の民族も分布している。言語学的にはオーストロネジア系とパプア系または非オーストロネシア系と称される二つのグループに分類される。前者は,メラネシアのほぼ全域に分布し,後者はニューギニア内陸部・ニューブリテン島・ブーゲンヴィル島のそれぞれ一部に分布するオーストロネジア系以外のきわめて多様な言語群を総称している。白人入植以降は英語と原住民諸語が混成して,ピジン英語が形成され,新しいメラネシア語として各民族間や欧米人に対して現在では安定して使用されるようになっている。基本的生業は熱帯性根茎作物であるタロイモ・ヤムイモ・サツマイモおよび樹木作物であるパンノキ・バナナ・ココヤシなどを中心とした農耕である。一般には焼畑耕作が行われる。在来の家畜はイヌ・ブタ・ニワトリであり,そのうちブタは貝貨とともに社会的地位および世俗的な富を象徴するものとして儀礼的に高い価値を有している。また,沿岸地域では漁労活動も盛んに行い,農耕民とのあいだで市場を開いている。メラネシア社会は個々別々で,言語同様に多様な形態を示すが,一般にみられる特徴としては,相互に孤立的な小社会が並列しておのおの自律的に存続し,いくつかの小社会に跨る上位の統合的な政治=社会組織がないことである。また小社会を統括するリーダーは,個人的能力・知識の社会的評価をへて成立するビッグ=マンが中心となるが,村落単位の会合を通じて村人を指導する程度で,権限も弱いものでしかない。それに対して一方でクランなどの親族集団が発達し,婚姻・土地所有・種々の交換において重要な機能を有している。同じ島社会であっても,系譜関係上の位置が個人の社会的地位を決定するポリネシア・ミクロネシアの首長制社会とは対照的である。信仰においては,コドリントンによって指摘されたマナ観念がその基礎をなす。これは,生物・無生物にかかわらず森羅万象に宿り,影響を及ぼす一種の超自然的な力であり,他者への伝染が可能で,マナをより多く有するもの,また,より強く影響を受けるものは社会的にもより強い力を有するとされる。メラネシア諸族を特徴づける仮面・木彫,祖霊崇拝,そして男子秘密結社,さらにはかつての首狩り・食人慣行も,このマナ信仰に関連して成り立つものである。欧米による植民地統治期以降,メラネシア諸族は生活様式の変容を迫られ,それに対してカーゴ=カルト(積荷崇拝)と総称されるさまざまな形態の原住民運動がメラネシアの各地で生起した。〔参考文献〕石川栄吉編『オセアニア』1977,大明堂
石川栄吉『南太平洋物語』1984,力富書房
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