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●メラネシア

大洋州 パプアニューギニア AD 

 太平洋のうち,ほぼ日付変更線によって区切られた西側で,赤道以南にある島々をいい,この北にはミクロネシア,東にはポリネシアの島々がひろがる。ニューギニア島から東へビスマルク諸島・ソロモン諸島・ニューヘブリデス諸島・ニューカレドニア島・ロヤルティ諸島・フィジー諸島にいたる島々を含み,陸地総面積は97万954平方kmに及び,ニューギニアを除いても15万922平方kmあって,ポリネシア,ミクロネシアよりもはるかに広い面積となる。メラネシアとは「黒い島々」という意味であるが,これはここに住む人々の黒光りするような皮膚の色に由来する。なお最近では,亜大陸ともいうべきニューギニア島をメラネシアから省いて一つの別の地域とする考え方もある。いずれにしても環太平洋造山帯の西縁をなすため,火山島も多く北西から南東へ列状に連なる高峻な山脈とその延長部分にあたる。また熱帯雨林気候によるジャングルが密生しているため開発の困難な部分が多いが,一方では各種の鉱物資源にも恵まれ,ニューカレドニア島のニッケル鉱や,ブーゲンヴィル島の銅鉱は輸出品目として世界的な地位にある。各島とも海岸部や山麓平野部は植民時代にヨーロッパ人がプランテーション農園を開いて,ココヤシ・バナナ・コーヒー・カカオなどの商品作物の栽培を始めて,コプラをはじめとするこれらの農産物が生産されたが,本来のメラネシア社会では,タロイモ・ヤムイモといった根栽類とサゴヤシとが食用とされていたものである。これらの原住民は,アジア東南部からフィリピンを経由して,前3000年ごろにはすでにニューギニアをへてメラネシアに入っていたものと考えられるが,メラネシアという語源となったように,黒色の皮膚と渦状毛または縮毛をもった人種で,遺伝学的にみれば先住のオーストラロイド系のあとにモンゴロイド系が加わったと考えられ,早くからニューギニア中央高地に住みついたものが暗褐色・渦状毛・鉤鼻・多毛で,なかには150cmにも満たない低身の部族もあるのに対して,メラネシアの島嶼部にひろがったものは黒色・縮毛・広鼻・少毛で身長も中位である。このような人種的特徴の差異からすれば,前者,パプア人はオーストラリア・アボリジニーに通じるグループであって,彼らの住むニューギニアをメラネシアからはずすことの理論的裏付けにもなっている。さらに言語学的にはパプア諸語がオーストラリア語族に属するのに対して,メラネシア諸語はオーストロネシア語族,広くいえばマレー=ポリネシア語族であって,これらが人種的にも言語的にも混血・混淆の度合を異にしながらパプアの700の言語グループ・メラネシアの200の言語グループに分かれる。メラネシアは太平洋の諸島のうちで,最も早く人間が居住した地域であるため,最も分化し,錯綜した様相を呈している。これらはそれぞれが谷筋ごとに,あるいは密林のなかに孤立して原始農耕や狩猟を生業とする社会をつくっていたものであるが,身分制というよりも個人の資格での尊厳と威信とがビッグ=マン(Big Man)と呼ばれる村のリーダーを生み,そのもとで強固な仲間意識をもっていた。17世紀以降,ヨーロッパ人がこの海域に現れはじめると,次々に領有宣言をして,とくにイギリスとフランスを中心として激しい植民地争奪戦が繰りひろげられた。第二次世界大戦は太平洋戦争という別名でも呼ばれるが,メラネシア海域は日本軍とアメリカ軍とのあいだに激戦が展開されたところで,ニューブリテン島のラバウルをはじめブーゲンヴィル島・ソロモン諸島・サンゴ海などは戦史に名が残るところである。戦後の1970年代から独立の気運が高まり,1970年フィジー,1975年パプア=ニューギニア,1978年ソロモン=アイランズ,1980年ヴァヌアツ(ニューヘブリデス諸島)が相次いで独立し,ニューカレドニアでもフランス海外県から脱しての独立が計画されている。