●メナンドロス
ヨーロッパ ギリシャ共和国 BC342
前342〜前292 アテナイの新喜劇の代表的作家。アッティカ喜劇は時代とともに内容も変化している。時事問題を論じ,政治家に対する痛烈な諷刺を主題とした喜劇は,前5世紀の終わりまでつづき,これを古喜劇と称する。前4世紀以降は風俗喜劇に近くなり,この時期の喜劇を中期喜劇という。メナンドロスは中期喜劇ののち,国家・政治の問題から離れて,一般的な人間生活の類型を素材とした新喜劇の代表者である。中期喜劇を代表したアレクシスの甥で,ディオペイテスとヘゲシストラテの子として,アテナイの名門に生まれた。政治からも公的任務からも遠ざかって,個人的社交と穏やかな生活のうちに生涯を送った。100篇ほどの作品を書いたといわれるが,19世紀の後半に発見されたパピルスから,『委託裁判』『切られ髪』『サモスの女』『先祖の神』の4作品の大断片が得られた。これらの作品に共通しているのは同工異曲の恋の物語であり,同時代の歴史的大事件,時代の変動とは無関係に,身辺の些事に話題を集中し,迷信を嘲り,人生を高い所から見下してあきらめの哲学を説いている。その作品は,政治的存在から私的存在へと人間のあり方が変化していくこの時代の,一般的風潮を反映している。