●女夫杉・女夫松 めおとすぎ・めおとまつ
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あたかも夫婦のように一対となって生えている木の伝説。1本の木から枝分かれしたもの,枝が絡み合うものをもいう。相生杉・相生松などと称することもある。長野県北安曇郡松川村の女夫松は,熊井某なる夫婦の遺体を埋めたかたみという。大分県大分市(旧大分郡吉野村)の夫婦松は,柏崎の若い男女の別離の記念で二人の魂が通っているとされ,同市(旧大分郡東大分村)の女夫松は,夜になると2本の木のあいだを火が往来したという。熊本県玉名市(旧玉名郡坂下村)の2本の松は,情死した男女の墓印という。古くは『常陸国風土記』香島郡の条に,寒田郎子(さむたのいらつこ)と安是孃子(あぜのいらつめ)との恋人二人が松の木に化生したとあるのもこの種の古譚であろう。一対の男女の死は,対偶神を祀る橋姫の伝承とも通じ合うものがあるかも知れない。これらの木はしばしば貴人・高僧の手植えによるともいわれる。東京都墨田区本杉の相生樟は,倭建命(やまとたけるのみこと)の立てた食事の箸が生長したとも,福井県大野市(旧大野郡上条村)の女夫杉は弘法大師の立てた箸とも,また荒島山の常陸坊仙人が植えたともいう。東京都板橋区仲宿乗蓮寺の相生杉・千葉県市原市(旧市原郡姉崎町)姉崎神社の女夫杉などは男女の縁結びに効験があるといわれている。〔参考文献〕柳田國男『神樹篇』1953,(定本11)