●ムリード
AD
イスラーム神秘主義(スーフィズム)における弟子のこと。新弟子の意味で用いられることもある。スーフィズムの宗教的修行においては,神との合一という目標は単なる個人的な力によっては到達されえない,シャイフとかピールと呼ばれる師匠の指導を受けることが不可欠である,と考えられた。イスラーム神秘主義教団(タリーカ)が形成されると,教団への入会を希望する者は教団の師匠に対して服従を誓い,ムリードとなる。ムリードとなった者には,教団の宗教行事への参加,教団の秘儀の伝授への道が開かれる。ムリードとなった者の多くは,ときおり,教団の宗教行事に参加するのみの在家の信者にとどまった。他方,ムリードのなかには,スーフィズムの修行に専念する者(ファキール)もあり,彼らはその修行の発達段階に応じて師匠から教団の秘儀の伝授を順次受けて,教団幹部への道を歩むのである。