●ムリリョ
ヨーロッパ スペイン AD1617 スペイン王国
1617〜1682 セビリアに生まれ,10歳ごろから孤児となったが,教父に養われて早くから美術教育を受けた。25歳のとき同門の友人がフランドルから帰り,ルーベンスらの新様式をもたらし,それに感激して大いに発奮,26歳のときまずマドリードに出る。すでに宮廷画家であった同郷の先輩ベラスケスにつき,彼の紹介で宮廷所蔵の名画を見たが,なかでもティツィアーノ・ルーベンス・ファン=ダイク・リベラなどから深い感銘を受け,ローマ行を断念してセビリアに戻り,ついに生涯そこを出なかった。彼の初期のセビリア派流の作風はやがて黄金調を帯びた温かい様式となり,代表作「無原罪の御孕り(または聖母受胎)」など甘美で抒情的な図像と,靄のようなぼかしによる夢幻的な明暗法によって,スペイン近代宗教画の最も伝統的な定型をつくり上げた。その反面,彼は晩年に描いた乞食の少年たちに不思議な美を発揮し,写実的風俗画の名作を遺した。