●ムフティー
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イスラームの法学者のなかで,国家なり裁判官なりの諮問に答えて,専門的な法学上の意見を述べることのできる者をいう。10世紀半ばまでイスラーム世界には,ムジタヒドと呼ばれる法学者たちがいた。彼らはコーランとハディースをよりどころにして明文規定のない事柄に対し,新たに法を演繹することを自らの役割としていた。しかし,10世紀の後半になると,このような演繹による法規の形成もあらかた出つくしたと考えられるようになり,ムジタヒドと彼らの法的行為は否定されるようになった。いわゆる先例を墨守する“模倣の時代”に入るが,しかし,現実には国政上・裁判上の難問題について先例や法の規定に詳しい法学者ムフティーの意見や助言を得て解決をはからねばならなかった。彼らが出す法的意見ファトワーは,在野の立場からのものであったが,実際上は国政や裁判の行方を左右しかねないほどの拘束力と権威をもっていた。