●ムスリム
アジア アジア AD817
817/821〜875 ニーシャープール生まれのアラブ系ハディース(伝承)学者。イスラーム世界を広く遍歴して収集した約30万の伝承から7,000余を厳選し『サヒーフ集』を著した。この書はイスナード(伝承口伝者系路)やマトン(本文)叙述の厳正さからハディース6書のなかでもブハーリーの編書に比肩され,ともどもサヒーハーン(両正伝集)と呼ばれている。内容は52部門よりなり,信仰(イマーン)と義務としての五行事項に始まり,婚姻・売買・遺産とつづき,後半は預言者や教友らの徳性・神学・コーランの注釈(タフシール)など,広くイスラーム教徒の生活全般に資する問題が採録されている。ブハーリーの編書と異なり主題別の解説文は付されてないが,イスナード中の人物名やマトンの叙述用語の異同については細かい指摘がみられる。とくにイマーンとタフシール部門には有益な採録が多い。ムスリムにはほかに伝承者伝や法解説の著作も知られるが現存しない。なお,このサヒーフ集にはイマーム=ナワウィー(1277没)による詳しい注釈書がある。